南極の氷が溶けたら本当に海面は上昇するの? 東京大学 大気海洋研究所の羽角教授に聞いてみた

ニュースより引用南極の氷が溶けたら本当に海面は上昇する?





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今回の疑問は「南極の氷が溶けたら本当に海面は上昇しますか?」です。



現在、温暖化によって地球環境に大きな変動があることが懸念されています。南極の氷が溶けているという点でも、その影響がどのようになるのか注目が集まっています。


「氷が溶けてもコップの水はあふれたりしないから、南極の氷が溶けても海面は上昇しない」と反論する人がいたりしますね。

南極の氷が溶けたら海面は上昇する

結論からいえば、南極の氷が溶けたら海面は上昇します。


南極の氷といっても、南極大陸の地面の上に積もっている氷、南極大陸の周りの海に浮かんでいる氷があります。


海に浮かんでいる氷は、「コップの中の氷」のたとえのように溶けても、それで海面が上昇しないと考えられます。


しかし、もともとコップの中に入っていない氷が溶けると話は違います。


南極大陸の上に積もっている氷――これを氷床といいますが――は、そうはいきません。溶けて海に流れ込んでその量の分だけ海面は上昇します。


同様に、他の大陸の高山にある雪や氷河などが溶けて水となり、海に流れ込めば海面を上昇させます。


どのくらい海面が上昇するかというと、いろいろな計算があるのですが、21世紀末までに全世界平均で50cm、あるいは1m上昇するのではないか、という予測が出ています。


数字にばらつきはあるものの、温暖化が進めば海面が上昇するのはほぼ確実で、避けられません。


実際、すでにツバルなどの標高が低い島嶼国家は消滅のリスクがある、とされています。


また、私たちが行ったシミュレーションによれば、海水が温まり体積が増える「熱膨張による効果」も海面上昇を引き起こす大きな要因になると考えられます。


海水は熱によって体積が増えます。温暖化が進んで海水の温度が上がり、それがまた海面上昇を引き起こす――と加速がつく可能性があります

ちなみに、南極の氷が全部溶けたら海面が100m上昇するといわれています。


一気に全部溶けることはありませんが、「温暖化によって氷床が溶ける速度」を遅くするための施策を講じるなどの努力が必要です。


氷床の融解だけではなく、熱膨張効果を防ぐためにも、基本は水温を上げないことです。そのためには、やはり気温を上げないことが重要なのです。


対策は「今」講じなければならない!

温暖化が野放図に進んでいけば、水位上昇のリスクが高まりますので、対策が追いつかなくなる可能性があります。


これは水位上昇だけではなく温暖化全部の問題で、今止めないといけない問題です。


仮に今、二酸化炭素の状況を50年前に戻したとしても影響はすぐに消えるわけではありません。


温暖化対策をするのに「早すぎるということは絶対にない」ので、とにかく早く対策をして、どれくらい真剣に取り組むかです。温暖化対策をもう一度「自分のこと」として考え直してほしいと思います。


では、南極の氷が溶けたら本当に海面は上昇するのでしょうか?

今回は、『東京大学 大気海洋研究所』の羽角博康教授に回答をお願いしました。

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